管理組合の考察(第四十九歩)
■管理組合を共同運営する会(その3)
関係者間の契約が成立して、外部者管理の最終準備期間に入った。経年劣化が激しい委託マンションで優先順位が最も高いのは排水管の更新工事である。これは、管理者である管理組合団体の建築士が担当し、排水管の状態を調べ、工事計画を作成し、管理組合総会の承認をとり、施工会社を選定し依頼した。工事も始まったようだ。半年以上の準備のおかげである。今回は専有部の配管も更新するため、住民の協力は絶対である。住戸数が少ないので賃借人などの占有者の協力は得られやすかったと聞いている。
次の優先事項は会計システムの導入である。
外部管理者管理では、会計システムの、導入は必須とも言える。区分所有者以外が管理組合の財産を管理する以上、明朗な出納、会計は絶対であり、いつでも区分所有者がチェックできる体制が望ましい。特に信頼保持義務が規定されているマンション管理士が関与する外部管理者管理では、会計システムの導入は委託者である管理組合だけでなく受託者である外部管理者に取っても必須と言える。
従って、適正化法上の三大委託業務のうち出納・会計業務を担当することになった私は、マンション会計システムであるクラセルを無事導入させる準備行為に着手した。
まずは、クラセルに使用する銀行口座を開設し、移行以前の会計を締め、その段階の管理組合の残高を新口座に移す事である。そこでクラセル移行に必要なアクションプランを作成し、管理組合や外部管理者になる管理組合団体、クラセルサービスの提供会社の同意を得た。
クラセル移行日は5/1になった。
この日は管理組合の会計年度の途中だったので、中間決算も必要でその準備も開始した。
この管理組合では管理費・修禅積立金の徴収は持参又は管理組合口座への入金であったため、区分所有者銀行口座からの自動振替の手続も必要であり、区分所有者各自の理解と承諾書の提出が必要であった。これが難航した。特に区分所有者が外国人の事例があり、区分所有者と直接連絡が取れず、占有者を通してのみ連絡するしかない場合もあった。外国には小切手決済や送金決済が一般で自動振替が普及していない国も多い。他人の銀行口座に手を突っ込むのかと誤解するものもいた。
現在国会で審議中といわれる区分所有法の改正が望まれる。
また、区分所有者が法人の場合も問題が生じた。法人の会計処理の都合か真相は不明だが、毎月の自動振替を拒絶された事例もあった。この法人は数ケ月分を前払いしており、この方式を継続したいとの意向であった。
これらについては、クラセル導入後も特別な処理が必要になり、それらの措置を明確化する必要があった。
(マンション管理士 渡邉 元)